ゼウスとマイアの息子で、商業やスポーツに盗みの神である。容量がよくゼウスの使者をつとめる。
普段は翼のついた帽子とサンダルを身につけているため移動が早い。彼はペロポンネソス中部の山岳地方アルカディア生まれで、 マイアがアルカディアのキュレネ山中の洞窟に産み落としたと言われている。
盗む手も早く、彼は生まれてすぐに盗みをした。それは赤ん坊では考えられないほど遠いピエリアという場所に出かけていって アポロンの飼い牛を50頭ほど盗んできてしまったのだ。ご丁寧に足跡がつかないよう靴をはかせてそのままピュロスへ運んでいった。そして2頭を殺して肉を食い、残りは洞窟に隠しておいた。おまけに皮は岩に乾かしておいた。はじめちゃん並みの天才児だ。
そしてキュレネに戻ると1匹の亀を発見。彼はさっそく肉を食い(食ってばっかだな。育ち盛りかな。)甲羅に穴をあけて牛の腸のすじを張り渡して竪琴を作った。または亜麻糸を9本巻きつけたようだ。9本はミューズを敬意している。
一方その頃アポロンは自分の牛が消滅したことに気づき、牛を見かけなかったかと道行く人に尋ねると
「小さい子が牛を連れて歩いているのは見たが、足跡がないので何処へ行ったかわからない。」
アポロンはすぐに占術を使い、盗人を割り当ててキュレネに赴きヘルメスを責めた。
「ボクは赤ん坊だから、そんな難しいことできませんばぶー。(=゚ω゚)ノ」
(#`д´).。oO(こっこのクソガキ・・・。)
「まさかこんな赤ん坊がそんなこと・・・。」
母マイアも信じられない。アポロンは真実を知っているだけに癇癪を起こし、 ゼウスの下へ引っ立てた。ヘルメスは頑固否定していたが、さすがにゼウスの前で嘘はつけず素直に盗みを認めたのだ。そのときアポロンは、ヘルメスが持っている亀の甲羅に気がついた。
「それはなんだ?」
「こういうものだ。」
とヘルメスは琴を鳴らし始めた。それは聞いたこともない音色でアポロンはその楽器に魅了されてしまう。
「牛なんかやるからそれをくれ!」
見事商談成立。
ヘルメスはアポロンからもらった牝牛を飼いながらシュリンクス(葦)笛を作り上げ吹いて遊んでいた。やはり食いつくアポロン。
「牛を飼っているときに使っていた黄金の小杖をやるからそれをくれ!」
またもや商談成立。この杖は「ケリュケイオン」といい、2匹の蛇が巻きついている。しかしヘルメスは占術も欲しいと要求した。そしてアポロンに小石による占術を教わった。その後ゼウスはヘルメスを自分と黄泉の神々との使者に任じた。そのせいか、黄泉に流れるステュクス河の渡守を行うカロンがヘルメスに 1日黄泉の国ツアーコンダクターを務めてやったりする。
また彼はゼウスの愛人イオを助けるために、番人のアルゴスを殺したため「アルゴスの殺戮者」アルゲイポンテスという異名を持つ。(詳しくはゼウスの愛人の章で。)
ヘルメスはゼウスやアポロンと違ってあまり浮いた話がない。息子に
パンや
ダフニス、両性具有の
ヘルマプロディトス、 「豊穣の神」プリアポスなどがいるが、いずれもはっきりとした説がないようだ。
ヘルメスと同一視された神も多くあり、サモトラケ島カベイロイ崇拝の神カドミロスや、ローマ神話のメルクリウス(マーキュリー)などがいる。